和楽社中で扱っている着物はすべて古着です。ひとくちに古着といっても、その着物のたどってきた経路は様々であるように、状態も様々。よごれや傷みの程度も見る人の主観によって変化するものです。ここではそんな古着の症状を「女大正ロマンセット」、「女昭和モダンセット」、「男正絹セット」を中心にご紹介しながら、古着についての理解を深めてもらいたいと思います。
■ 症状1 裏地のシミ…「ホシ」 ■
下の画像のように、裏地一面にたくさんのシミが星のように飛んでいるものがあります。一目見て驚いてしまいますが、 これは「ホシ」といって防染技術の発達していない昭和30年代以前の着物によく見られるものです。この時代のものなら、よく手入れ保存された着物でも起こりうる症状で、どんな高級品でも避けられないそうです。逆に言えば「ホシ」がついていればそれだけ古い着物の証です。
裏地につた「ホシ」。一面に模様のように広がっていて、範囲は裏地全体に及びます。説明にもありますが、不潔なヨゴレではありません。
「ホシ」の拡大。これは特にはっきりと出ています。シミが薄く広がったようなものもあります。
■ 症状2 「ムシ」 ■
今度は保存のときにつく「虫食い」の穴です。化繊以外の天然素材はその被害にあいます。思わぬところにポツっと1〜2mmの穴を開けます。透かしてみるとよくわかります。でもこれも天然素材の証です。
前身ごろのムシです。着物の重なる部分だといいのですが…。
これは着物のキワにあります。極力目立ちませんね。
■ 症状3 「裂け」 ■
「裂け」はうすものの(夏の絽、紗など)正絹によく見られます。生地が非常に弱く繊細なので、着用時にひっかけたり、すれて起こったものです。ワキのあたりなら重ねて縫い付けても目立ちません。
「裂け」の部分を広げてみるとよくわかります。生地の繊維に沿って走っています。
普段はよっていたりしてわかりにくいですが、直したいものです。
■ 症状4 「シミ」…汗、濡れによるシミ ■
夏の着物などに多いのが汗や、雨などによる濡れジミです。シミの薄いものが多いですが、範囲は大きくなります。よくある箇所は脇、裾などです。付いた時はわからず、虫干しして仕舞った後からでてきます。
半径5cm程度のシミ。裾についています。裾の長い着物なら折り返して縫うのもいいです。
ポツっととんだシミ。お茶などによるものかもしれません。
■ 症状5 「シミ」…汚れジミ ■
着用時の汚れで最も多いのがこれです。みなさんも経験があるかと思いますが、付いてほしくないところに付くものです。…自分と同じようなところについたシミなら愛着も出る?
よりによって白い箇所に!これを着ていた人のショックもわかるもんです。
濃い色の生地に付いたシミ。あまり目立たないですね。
前身ごろのムシです。着物の重なる部分だといいのですが…。
染み抜きにはベンジン、アンモニア水を使います。古い染み抜きには使えません。
■ 症状6 「ホツレ」 ■
縫製の部分のホツレです。無理に力を加えてほつれたものです。こうなるというのは手縫いの証拠。機械縫いだと生地に影響します。正絹は生地が弱いので、絹の糸を用いて強度のバランスを取っています。つまり生地を守るために、糸が切れるようになっているんです。非常にこまやかな心遣いです。「単に弱い衣類だ」と思わないでください。
背伏せのホツレ。縫い直せば治ります。
脇のホツレ。縫い直して長く着たいですね。
■ 症状6 「傷み」「ヤケ」 ■
経年の劣化にとる傷みをご紹介します。染み抜きしたり、洗ったりすることでどうにかなるものではありません、いわゆる「時代」というやつです。新品の着物にはない、古着の味わいのひとつです。昔のものは繊細な造り、柄行きのものが多いですが、時代を経てさらに貫禄が漂います。「ヤケ」は積み重ねてあった着物の上、または縁が色あせたものです。
古色が出た紗の着物。生地も非常に弱くなっています。
普段はよっていたりしてわかりにくいですが、直したいものです。
畳んだ折り目がヤケてしまっています。
生地全体が色あせています。







