和楽な着物暮らし

女の人は毎日面倒な帯を締めていたの!?

 「着物は着るのが面倒じゃない?」。これも本当によく聞かれます。答えは「出かけるときの洋服だって面倒でしょ」。着物は本当に特別扱いされてかわいそう。着物を着る=よそ行き。だからちゃんと着ないと。洋服だってそれなりのところに行くときは、いろいろ面倒だと思います。でも洋服にカジュアルな普段着があるように、着物にだってカジュアルな普段着はあります。だってちょっと前の日本人はみんな着ていたんですよ。普段は普段の着方があります。



■家やお買い物と特別な外出着は違う!

 和楽の師匠「もとから日本人」に話を聞くと、やはり特別な外出時にはお太鼓結びのできる袋帯(ふくろおび)や名古屋帯(なごやおび)、正装には丸帯と使っていたそうです。でも普段着は半幅帯【はんはばおび】という略式の帯をしていたそうです。また寝るときや夏などは伊達締め【だてじめ】だけの場合もあったそうです。

 つまり、いつもはいわゆる、あんなに手間のかかる大きな帯は締めていなかったということです。普段の家着やちょっとした外出には襦袢に伊達締めをし、長着には腰紐【こしひも】2本とと半幅帯だけなんです。あんな大きな帯じゃうちのことが何にもできないって言っていました。確かに映画『男はつらいよ』の「おばちゃん」はいつも半幅帯ですね。

 戦前も帯枕【おびまくら】帯板【おびいた】も衿芯(えりしん)もあったそうです。でもめったな外出でない限り、お太鼓結びをしませんから、つけていなかったそうです。またへちまのたわしがありますよね。アレを適当な大きさに切って、帯枕にしたそうです。

 もちろん特別な外出時、お太鼓をするときは 帯揚げ【おびあげ】 帯締め【おびじめ】帯留め【おびどめ】はしていたそうです。



◆こんなに違うアイテム

お太鼓結びに必要な装備 左上から伊達締め2本、帯板、帯、帯揚げ、左下より腰紐2本、帯枕、帯締めのそうそうたる装備。

 

半幅帯に必要な小物 半左上から伊達締め2本、帯、左下より腰紐2本。



■過剰な着付けよりも、普段の着方

  戦後、普段着の着物の着方が失われてしまったので、着物を着る=よそ着となり、あれもこれも必要とするという方程式がたてられてしまいました。またこれに追い打ちをかけたのが着付け教室。あのおかげで着物の着方という更衣が、「着付け」という格式お高い行為となってしまいました。



■普段着で必要な物(たったの3点)
▲半幅帯【はんはばおび】 普通の帯<並幅>の半分の幅の帯。明治時代から用いられました。帯揚げ、帯締めを使わず、浴衣用、普段着用として手軽に締められます。普段着の着物の王道です!!

▲伊達締め【だてじめ】 帯を締める下ごしらえのための帯。長襦袢や寝間着にも用います。以外に歴史は浅く、昭和の初め頃から用いられたそうです。そのまえは伊達巻きという物があり、それも明治の初め頃だそうです。社中では「家では伊達巻き運動」を展開しています。

▲腰紐【こしひも】 本来締めるための帯が(装飾のためになり)その働きを失ったので、それに代わるひもを別に使うことになりました。とくに明治以降、お端折り(おはしょり)をするのが普通の着方になったので、必需品となりました。

■お太鼓結びだから必要な物(なんと8点!!)
▲帯 いわゆる大きな帯。

▲伊達締め 上記参照。

▲腰紐 上記参照。

▲帯枕【おびまくら】 帯の後姿に立体感を出すための枕。形や大きさはさまざまあったそうです。戦前は生地のかたまりを布地でくるんでつくってあったそうです。

▲帯板【おびいた】 女性の帯にシワがよるのを防ぐため、前帯に挟みこむ板。帯を締める前に装着するゴム付きのものもあります。戦前はセルロイド(戦前にもあった)に布が巻かれていたそうです。

▲帯締め・帯〆【おびじめ】 もとは帯留めともいい、女性が帯を結ぶときに形を整えて最後の仕上げに締める紐のこと。現在では帯締めを留める留め具を帯留めという。帯締めの始まりは歌舞伎の瀬川路考が創始したそうです。

▲帯留め【おびどめ】 帯の中央を飾る細工飾り。帯締めを留める留め具。

▲帯揚げ【おびあげ】 お太鼓結びなどの帯をするとき、後ろに帯枕を入れます。その上にかぶせる布地ですが、着物と帯の間を飾る役目もあります。絞り(しぼり)や綸子(りんず)、縮緬(ちりめん)などさまざまあります。


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