平成12年、私たち和楽社中のメンバーの一部は、もともと「京都ものづくり塾」という伝統産業のボランティアグループで活動していました。中でも高級な工芸品や伝統的・非日常的工芸品などよりも日常的な道具や日用品に関心を持ち、それらを調べていく勉強会「歴史考」というワーキンググループを1年間続けました。幸いなことにこのワーキンググループには、それらの道具を使った暮らしを経験されている年輩の方が参加して下さりました。活動は大変有意義で、ちゃぶ台、電灯、畳といったように日本の伝統的な生活道具にいよいよ関心が高まっていったわけです。
高級な工芸品などのように「観賞や芸術としての日本文化」ではなく「暮らしの中に生きる日本文化」を取り戻したい、思いは強くなっていきました。いわゆる非日常的、高級的な和に対して、普段着の和、暮らしの中で生きる和の総称に何か言葉はないだろうかと考えはじめました。平成12年12月、いい言葉はないかと辞書を見ていくうちに【和楽・わらく】という言葉が目に入ってきました。調べてみますと『みんながそろって和やかに楽しむこと』と書いてあります…。「これだ」と思いましたね。とかく、日本人のイメージとして勤勉、まじめといった言葉が二言目にはついてまわりますが、意外にも【和楽】というような言葉が日本語にあると言うことはとても救われた思いでした…。
もっと「日本人らしい暮らしがしたい」、もっと「暮らしの文化を楽しみたい」、そして「現代の暮らし生きる日本文化を伝えたい」などの思いを込め、現代の日本の暮らしに生きる文化一般を【和楽】と呼ぶことにしました。これがはじめは何となくわからない、意味不明な言葉でしたが、時間がたつにつて「この道具は和楽だ」「その考え方は和楽的だ」「この仕事のスタイルは和楽だ」というようになっていきました。これが和楽のはじまりです。
しかし、一口に和楽とは言っても、人それぞれにそれぞれの和楽の形があります。人が集れば集まるほど「和楽とは何か」という一応の定義付けをしておかなければ、何をもって和楽というのか分からなくなる懸念がありました。そこで平成13年8月、今後の「ものづくり歴史考」としての活動理念、基本方針となる「和楽宣言」をまとめるにいたりました。
この勢いは止まらず、平成13年11月、私たちは「京都ものづくり塾」から独立し、5名で「和楽社中」を立ち上げるに至りました。「社中」とはみなさんご存知の通り幕末の志士、坂本龍馬のつくった集団「亀山社中」からとりました。藩という既存の組織形態では自分を表現できなくなった若者が浪人となり、新しい組織形態をつくりました。それが「亀山社中」です。われわれも会社や学校などといった既存の組織形態では自分を表現しきれない者たちによる新しい組織形態にしたいという思いを込め、『和楽社中』と名付けました。
